うちの介護手帖

頚髄損傷で四肢麻痺の父を自宅介護しています。慣れない介護をしながらも 豊かな暮らしを不器用に目指して、自宅介護をデザインしていきます。

車椅子の父、映画館に行く

去年の大晦日に、家族でシン・ゴジラを見に行きました。
父は映画好きで、私が中学生のころはミニシアターや名画座に連れて行ってくれました。
シネスイッチ銀座日比谷シャンテを梯子した思い出も
飯田橋ギンレイホールで待ちあわせした事も
思春期に父と出かけた記憶は映画館がらみが多いなあ。
しかし車椅子になってからは出かけるのが億劫がっていて、このシン・ゴジラは父にとって怪我をしてから初めての劇場鑑賞です。
 
劇場公開してから数ヶ月、今更なので深夜のレイトショーのみ、シネコンの中でも一番小さな劇場での上映でした。大晦日だからか、シアター内には私達を含めてたったの7人でした。
 
予約した席について、正面を見るとただの黒い壁です。車椅子席は最前列にあります。スクリーンの位置が高くて近い。首をぐいと上に向け、目線もぐぐっと上目遣いになりようやく画面が見えます。
映画館に設置されている座席は緩やかなリクライニングになっていて、背もたれに頭を押しつける体勢で画面が見える。でも、車椅子には高い背もたれもなければ、リクライニングもない。上半身をのけぞる事ができない父とって、最前列はしんどい位置です。

少しでも見やすくするために、
・持っていた膝掛けやストールを車椅子の前輪にかませて、後ろ向きに少し傾斜を作る
・首の疲れを軽減するためにコルセットを巻く
・両隣に座る私と姉が、映画中に父の首のツボを押したりズレる眼鏡を直したりする

本物のゴジラは見上げても顔なんか見えないくらいでっかいからね。ある意味で臨場感満載。
何かとゴソゴソしていたので、お客さんが少なかったのは幸いしました。
 

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インターネットを見てみると、車椅子席から映画が見づらいって意見はたくさんあります。
スロープを作って、スペース設けて、満足。アクセスについては気にしてくれているけれど、見え方についてはあまり気にしてないのかも。
今更ハードを変えられなくても、バリアフリー化できます。取り外しのできるスロープがあれば見やすい席まで移動できるし、クッションの貸し出しひとつで楽に姿勢がとれる人もいる。車椅子席からだと画面がどういう風に見えるのか、来館前に情報を提示し、検討の余地を与えることだってバリアフリーだと考えます。
 
シネコンさん、車椅子ユーザー達はいいマーケットですよ。
車椅子でも行きやすかったレストランやレジャー施設は仲間内で共有して、芋づる式に宣伝してくれます。付き添いと行動することが多いので、二人分のお客さんは確保できます。良かったサービスへのリピート率も高い。
儲かるバリアフリーって考え方はどうでしょうか。
 
こんな動画を見つけました。
新宿ピカデリーが素晴らしい。